お金の勉強 子どもには早すぎる?

あきこ

「子どもにお金のことを話したり勉強させるのは、まだ早いかな」と感じる人は多いようです。

私は、子どもたちが家庭でお金のことを学んでいけるように、専門分野であるアメリカ&イギリスの金融リテラシー(ファイナンシャルリテラシー)教育を、日本人向けにアレンジした『お金の教育✖️国際教育』プログラムを、日本国内外の日本人保護者の方に提供しています。

でも、子どものお金の教育の『子ども』って何歳くらいの子どものこと?

こんなふうに思われる方もきっといらっしゃいますよね。

プログラムの一つである入門編個人講座。対象を2歳から18歳までのお子さんをお持ちの保護者の方、としているので、これまでの受講者のお子さんの年齢は、実際に2歳から18歳までと幅広く、また、保護者自身の金融知識がゼロとおっしゃる方から金融のプロとして活躍されている方まで、実に様々な方が受講されます。

個別講座なので、そのご家庭のお子さんの年齢に合わせて「今」家庭でできること(すべきこと)と、現在の年齢から18歳までにどんな道を辿っていけば良いかについてお話しします。

その中で、特に3〜6歳ごろの幼児期のお子さんの保護者の方からは

「講座には申し込んだものの、うちの子は幼児だからまだ早すぎるのかな?どうですか?」

と聞かれることも実はよくあるんですね。また、

「小学校低学年なので、まだ少し早いかなと思っていますが、とりあえずまずは親が知識をつけておこうと思います」

と最初におっしゃる方もいらっしゃいます。

ここでは、子どものお金の教育というとき、子どもっていったい何歳くらいの子どものことなの?ということにも触れながら、『まだ早すぎる』ということはある?について解答していきます!

子どものお金の勉強【知識】と【知恵】

『子どものお金の勉強』と聞いて、どんなイメージを持ちますか?

お伺いすると、よく登場するのは

お買いものやおつりの計算がきちんとできる/お金を大切に扱う/お金の種類がわかる/お金の歴史を知っている/おこづかい制でお金を自分で管理/貯金や投資・クレジットカードなどについて学ぶ

いろんな考えが頭を駆け巡りますよね。これらはすべて正解ですべて大切!

ですが、これらは『子どものお金の勉強』のほんの一部にすぎません。

お金の勉強の種類や方法はいろいろある。

でも、その一つ一つの手段の意味を、関わる大人側が理解しているのとしていないのとでは、子どもが学ぶもの・得るものが違ってくるんです。

例えば、ただ買い物のやり取りを経験させたり、お金の歴史を教えたり、おこづかいをあげて、「何かを学んでくれたらな!」だと、実はなかなか実用的なお金の【知識】や【知恵】にはつながりにくいのですよね。

【知識】と【知恵】に分けて見ていきましょう。

お金の【知識】

まず、整理するために【知識】の意味を確認してみると…

【知識】とは?

知ること。認識・理解すること。また、ある事柄などについて、知っている内容。「日々新しい―を得る」「―をひけらかす」「予備―」

コトバンク

とあります。

お金の【知識】は、年齢が高くなってからの方が身につきやすい、と私は思っています。

頭で認識し、理解して初めて【知識】となるので、低学年に無理やり教え込むよりも、中学生や高校生など高学年の方が、より少ない労力で【知識】がつきやすいと考えているからです。

高学年では、金融用語・経済用語を覚えながら、社会や経済の仕組み、金融機関の役割、金融商品の具体的な内容などの知識をつけ、お金の管理を学び生活力を身につけていきます。

中学生や高校生のお金の勉強と言えば、【知識】をつけることに重点をおいた教材、書籍、動画などが数多く存在しますね。

一方で、幼児や小学生も、適切な環境が用意されれば、生活の中からどんどんお金の【知識】を身につけていくことができます。

ちなみにアメリカやイギリスの高校生(早い地域で小中学生から)は、こんな用語や内容↓を習いますよ!これは【知識】です。

日本も2022年から、高校の家庭科に入ってくるようになりましたね!

お金の【知恵】

お金の【知恵】の基(もと)となる力は、幼少期から長い時間をかけて育くまれます。

親のお金の知恵が子どものお金の知恵になっていくこともあります。私はそれを、これまでに仕事関係で出会った様々な国籍の裕福な人たちから学んだし、これまでに読んだ数々のパーソナルファイナンス関連の本の中でも、多くの経験者が確信しています。

習慣や習性が身につくのも幼少期です。これも上記同様。

大人になってからも貯められる人というのは、小さい頃から習慣があります。
今から50年から20年前までくらいの人の例で言えば、親が、おこづかいの一部を少しでも利息が高いところ(定期預金口座他)に置くように、子どもにアドバイスをして道を作っていたというような話を聞くたび、やっぱり経済的に豊かな人が豊かになった理由のヒントは幼少期にある、と再確認させられるのです。

【知恵】ってなんだ?と思われた方は、もう一度確認して見ましょう。

【知恵】とは?

物事の道理を判断し処理していく心の働き。物事の筋道を立て、計画し、正しく処理していく能力。「―を借りる」「生活の―」

コトバンク

らしい。

まさに、お金の知恵は生活の知恵。生活の知恵の基(もと)=土台となる力は幼少期から長い時間をかけて育まれるということを理解すれば、何歳くらいでお金の勉強を始めたら良いのか、何歳だと早いのか?遅いのか?なんとなくイメージが湧くと思いませんか?

何歳であっても、子どものたちの現時点における【知恵】は、生まれてから今日までに見聞きし体験したものの蓄積をもとに発揮されるもの。

悪知恵だってそうなのかも笑

例えば、4歳の子どもであれば過去4年間、7歳の子どもであれば過去7年間、16歳であれば過去16年間で蓄積されたものが、その子が将来発揮する【知恵】の基(もと)=土台となっています。

一人ひとり、どんな【知恵】を発揮していくのか楽しみですよね^^

ちなみに、お金の知恵とIQは関係がないようですね。

【知恵】や習慣はライフスキル。私はそう思って、娘たちには2〜3歳ごろから会話の中でざっくりと、5〜7歳ごろから本格的にお金の教育をはじめました。姉妹で個人差はあるものの二人とも6〜7歳ごろには既に大きな成果を感じました^^  ※これを書いている時点では9歳と6歳になっています

講師あきこ
講師あきこ

私たちがお金を手にしたとき、選択肢はざっくり2つ。

一つは「使う」
もう一つは「(全てまたは一部を)貯める」
※貯める=残す(増やすも含む)という意味合いで使っています

使う

使うこと自体は何も悪いことではありませんよね。特に、生活するために本当に必要なものやサービスにお金を使うことは何も悪いことではありません。

私自身、そんなに節約家ではありません。お金を何に使うかにはかなりシビアだけど、良いもの納得のいくものにはお金をかけるタイプ^^

私のことはさておき。

私たち人間がお金を求めるのは、もちろんまずは生きていくためではありますが、お金そのものの価値というよりも、お金を使って得られるもの、もっと言えば、そのお金を使ってその先に『得られる感情』のためだと私は考えているし、子どもたちにもそのことについてじっくりと考える機会が与えられてほしいなと思っています。

もしお金の【知恵】がないままだと、使い道を誤ることが沢山あるでしょう。

使い道を誤ることが多いと、本当に『得たい感情』がいつまで経っても得られません。
得られたとしても一時的なものではいつまで経っても満足感や充実感が感じられません。いつまでも次がほしくなる、というように。

貯める(残す)

お金を手にしたとき、使わずに、全てまたは一部を残すという選択肢があります。
英語でよく言われるのが、Saving=Not spending(使わないこと=貯蓄という意味)

この場合の貯蓄は、貯金箱や銀行預金などの『現金』に限らず、現金以外の金融商品も含んでいます。とにかく、使わずに取っておいたものや増やしてきたもの。

今現在、継続的に裕福な人の多くは、子どもの頃に育んだ【知恵】を活かし、『時間』と『複利効果』を駆使して地道に継続的に財産を増やしてきた人です。

かの有名なウォーレン・バフェットも、子ども時代からの経験と【知恵】によって富を築いた人というのは、世間一般的にはあまり語られないけど、そこが核心の部分というのは、知る人ぞ知ることらしいです。

私自身は30代になってようやくお金の知識をつけていったタイプですが、お金の知識がついて出会う人が変わってきた時に、ああ経済的にも精神的にも豊かな人生を送っている人の多くは、幼少期にお金の【知恵】の土台を育んでいるのだなあということをしみじみと感じました。

そしてのちに読んだ数々の本でそのことを確信しました。
これに関連しておすすめの書籍を一冊ご紹介 ⇩⇩⇩

講師あきこ
講師あきこ

おすすめの書籍【高校生から大人向け】

The Psychology of Money by Morgan Housel

Amazon KindleやAudibleでも購入できます。英語で読みたい人にとってはこれのAudible版は語り手の口調が聴きやすくてとってもおすすめ!日本語翻訳版も出ているみたいですよ!  

【知識】と【知恵】の関係

「知る」と「できる」この2つは全く別物ですよね。

先ほどのコトバンクからの引用をまとめると、

【知識】は、知ること、認識・理解すること。ある事柄について知っている内容。
「知る」

知らなかった情報が頭に入ってきた時点で【知識】になる=「知る」ということですね。

知恵】は、物事の道理を判断し処理していく心の働き。物事の筋道を立て、計画し、正しく処理していく能力。=「できる」

【知恵】と【知識】両方があってはじめて、その力 (ここで言えばファイナンスシャルリテラシー)が身についていると言えそうですよね。

ちなみに、知っていることを使って問題を解決していく能力が【知恵】として、【知恵】は【知識】があって初めて使えるという考え方もあるようです。

これは単なる情報の蓄積から絶出せよ!というメッセージと共に言われること。情報の蓄積を【知識】に変えよ!みたいな。

私は、ファイナンシャルリテラシーは、受験や就職試験に必要なものじゃなくて、『ライフスキル』だと思っているので、子どもたちには、教科書だけでなく、体験からの学びや知恵が必要だと考えています。

いきなり難しい経済用語を暗記させられたら、大人でも嫌になっちゃますもんね。

まとめ

お金の【知識】と【知恵】についてご紹介しました。

幼少期から高学年までに蓄積した【知恵】と【知識】の両方を持ち合わせていることが、大人になってからの高いファイナンシャルリテラシーと、自分が望む豊かな人生に繋がっていくということで、私のプログラムでは、子どものお金の教育というときの『子ども』は、生まれてから親元を離れるまでの全年齢の子どものことを指しています。

プログラムは、構成上の理由で2歳〜18歳の保護者の方が対象です。
0歳さんから2歳未満のお子さんをお持ちで、子どものお金の教育のことを学びたい方も大歓迎です。基礎からお話ししていますので、ぜひこちらからお問合せください別途対応させていただいております

どの年齢の子どもも「早すぎる」ということはありません。そして例え、今お子さんがもうすでに大きくなっていたとしても、その子の人生にとっては今日が一番若い日なので、今日これを読んでくれているあなたが子どものお金の教育に関心があることを、自分で褒めてあげましょう♪

実に多くの人が、まだ子どものお金の教育の必要性を感じていないのですから。

最後に、私が影響を受けたイギリスの詩人アルフレッド・テニスンの名言を一つご紹介します。

Knowledge comes, but wisdom lingers.
-Alfred Tennyson-
知識はすぐに得られるが、知恵を得るには時間がかかるものだ

では、また☆

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講師 あきこ
講師 あきこ
トータル16年間、米英のパーソナルファイナンス教育(=お金の教育) の分野における実務と知識習得に力を注ぎ、現在は、子どもの金融教育を専門に、日本国内外の保護者に「欧米式のお金の教育」を提供している。子どもの自立と自己実現を叶える『欧米式お金の教育X国際教育 7ステップ』プログラムを独自に考案、子どもの個性を尊重した社会、一人ひとりの子どもが自立して自己実現できる社会を目指して活動している。CreateBright Education LLC代表。米国ファイナンシャルエデュケーション講師 (CFEI®)。海外生活3カ国21年、アメリカ在住ママ。アメリカ生まれの小学生二人の育児中。
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